事務所での浮遊粉じん測定は、定期的に必ず実施しなければいけないのでしょうか?
結論:ビル管法の適用なら”定期測定は義務”。事務所則のみの適用であれば”定期測定の義務は無い”
浮遊粉じんとは?
極めて微細な粒子で、自分の重さでは落下しないで浮遊する性質を持つ。大気中の粒子状物質は、粒径10μm以下の浮遊粒子状物質(SPM)とそれ以外に区別され、事務所衛生基準規則では10μm以下が管理対象となっています。近年は、2.5μm以下のものをPM2.5として基準が設定されています。
浮遊粉じんの人体への影響
粒径が10μm以上のものは痰とともに排出されますが、10μm以下のものは肺の奥まで吸収されます。これらの人体への影響としては、吸収によりじん肺、気管支炎、肺水腫、ぜんそくなど発生する恐れがあります。
定期測定の法的根拠
事務室は、すべて「事務所衛生基準規則」(以下、事務所則)の適用を受けます。さらに、「特定建築物」(延べ床面積3000㎡以上の大規模な事務所や店舗等の建物や8000㎡以上の学校等)で事務所がある場合は、事務所則とビル管法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)の両方が適用されます。
浮遊粉じんの管理基準は、事務所則、ビル管法ともに「空気調和設備又は機械換気設備」を設けている場合となっています。
事務所則では、浮遊粉じんの管理基準はありますが、定期的な測定義務はありません。
一方、ビル管法では、定期的な測定が義務づけられており、測定頻度は、2ヶ月に1回となっています。
事務所則
第5条 空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調整して供給することができる設備をいう。以下同じ。)又は、機械換気設備(空気を浄化し、その流量を調整して供給することができる設備をいう。以下同じ。)を設けている場合は、室の供給される空気が、次の号に適合するように該当設備を調整しなければならない
管理基準
浮遊粉じん量(10μm以下)が0.15mg/m³以下
測定義務
事務所則では「浮遊粉じん」の測定義務は明記されていません。
ちなみに、空気調和設備を備えている建物で中央管理方式のものは、温度、相対湿度、外気温、一酸化炭素、二酸化炭素については2ヶ月に1回の測定が義務づけられています。
また、大規模な改修を行ったあとに、ホルムアルデヒドの測定が義務づけられています。
測定方法
事務所則では「浮遊粉じん」の測定義務はありませんが、基準値以下に管理しなければなりません。
基準値以下に管理するためには、自主測定が必要となります。測定は、デジタル粉じん計やろ紙じんあい計等を用いて実施します。なお、測定場所は空調の吹き出し口で行います(第5条より)
また、測定器は第8条に記載の通り、校正された測定器を使用する必要があります。
第8条
グラスファイバーろ紙(0.3ミクロンのステアリン酸粒子を99.9%以上捕集する性能を有するのもに限る)を装着して相対沈降径がおおむね10ミクロン以下の浮遊粉じんを重量法により測定する機器又は当該機器を標準として校正された機器
建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管法)
空気調和設備、機械換気設備をを設けている場合は、浮遊粉じん基準に適合するように空気を浄化し、調整して供給しなければなりません。
また、浮遊粉じんの量を2ヶ月に1回測定測定することが義務づけられています。
管理基準:
浮遊粉じん量:0.15mg/m³以下
測定方法
特定建築物の通常の使用時間中に各階ごとに、居室の中央部の床75cm以上150cm以下の位置において計測器を用いて実施します。
計測器は、事務所則と同じ基準となっていますので、デジタル粉じん計やろ紙じんあい計等を用いて実施します。
ビル管法に適用になるかどうか判断つかない場合は、最寄りの保健所に相談しましょう。
合わせて読みたい<→事務所則とビル管法の違いは?事務所の環境測定は義務?>
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