2023年2月、国産での先端半導体製造を目指すRapidus(ラピダス) は、北海道千歳市に新工場を建設することが発表されました。
工場は、2025年に試作ライン、2027年に量産ラインの立ち上げを目標に建設が始まります。
建設予定の千歳市の現場を見に行ってきましたので、最新の工事進捗状況をレポートします。
ラピダスとは?
Rapidus(ラピダス)はソニー、トヨタ自動車、デンソー、キオクシア、NTT、NEC、ソフトバンク、三菱UFJ銀行など、日本国内大手企業8社が出資し、半導体の専門家集団が設立した半導体新会社です。日本政府も700億円の開発費を拠出しています。
目的は世界最先端のロジック半導体の開発と製造です。
世界で初めて回路線幅2ナノメートルの半導体を開発した米IBMと、imec(ベルギーの半導体研究機関)と一緒になって、2ナノメートルの技術を開発し量産化を目指します。
そもそも半導体とは?
半導体は、「導体」と「絶縁体」の中間の性質を持ち、特定の条件下で両方の役割を果たすことができる物質です。この性質を利用して、電流を制御(電流を流したり、止めたりする)することができます。
導体 :電気を良く通す(金属など)
半導体:両方の性質をもつ(シリコンなど)
絶縁体:電気をほぼ通さない(ゴムなど)
建設場所はどこ?
新工場の建設場所は、新千歳空港近傍の千歳美々ワールドです。(北海道千歳市美々(びび))
美々ワールドには、セイコーエプソン、公立千歳科学技術大学、レンタカー会社があります。
ここに、新工場を含んだものづくり拠点である「IIM」(イーム)を建設することになっています。
「IIM」(イーム)とは、
「Innovative Integration for Manufacturing」の略で、ラピダス社独自の半導体工場の呼称です。
新しいイノベーションを起こすものづくりの場所。具体的には、新工場をグリーン化し、再生可能エネルギーによるゼロカーボン化や完全自動操業や無灯化、リサイクルを進めて廃棄物を極力出さない場所を目指しています。
工事スケジュール
2023年6月: 整地・造成工事着工
2023年9月1日:新工場の建設の起工式(建設施工業者は、鹿島建設)
2024年9月: 電気やガスなどのインフラ設備を立ち上げて工場を試運転
2024年12月~:製造設備の搬入を開始
2025年4月: 製造ラインの稼働スタート(予定)
どんな工場?
自然と調和した外観で、真四角の箱が並び煙突が見える従来の半導体の工場とは違います。自然豊かな北海道千歳市に立地するため「自然と調和」した計画となっています。
資材には、一般的なコンクリートい比べ製造時に約40%の二酸化炭素を削減する環境配慮型のコンクリートを採用します。このほか、建設計画全体を通して、二酸化炭素排出削減に取り組むそうです。
最新の工事進捗は?
最新の工事進捗状況は、千歳市の専用ホームページで確認できます。(2024/3開設)
ラピダスの工場建設が進む千歳市は、半導体の仕組みや工場の建設状況を紹介するホームページを開設しました。ホームページでは、工事進捗のほか、半導体の種類や役割、どのようなものに使われているかをゲームのような形で紹介する「半導体攻略クエスト」があります。
最先端の半導体を千歳市から世界へ|千歳市企画部次世代半導体拠点推進室 (chitose-semiconductor.jp)
2023年5月28日
2023年5月下旬に工事現場に行ってきました。
3ヶ月前は、ただの森でしたが、工事用の仮設プレハブが設置され、工事現場用の電源引込工事が実施されていました。電気工事屋さんが電柱を立てていました。
木の伐採がスタートしていて、整地・造成工事の準備が始まっています。
2023年6月10日
木の伐採が進んでいます。
1ヶ月前は、森でしたがすっかりこの通りです。
2023年6月29日
工事業者用の仮設プレハブが設置されていました。(写真奥です。見えますか?)
2023年8月2日
電柱が設置され、そこに電線が張られています。
多数の重機・工事車両が作業をしています。プレハブがまた増えていました。
とにかく広いですね。
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