プラント配管工事の流れをご存じですか?施工管理をするプラントエンジニア、施工管理技術者には不可欠な知識・スキルです。
大規模な生産設備であるプラントは、装置・機器類を結ぶ「配管」が主役で、重要な役割を果たしていて、腐食性流体や高温高圧など厳しい条件で使われています。
化学プラントの施工管理技術者(プラントエンジニア)が「配管工事の流れ」を紹介します。
目次
配管の種類
プラント配管工事の流れ
1.プロセス開発、プロセス設計
2.基本設計(配管)
3.詳細設計(配管)
4.材料集計・資材調達
5.建設工事
6.配管工事
7.検査、試験、試運転
8.プラント稼働、運転、保全
配管の種類
配管の種類には製造工程での原料供給や製品移送を行うプロセス配管を始め、水・蒸気・空気・ガスなど動力源や熱源等を供給するユーティリティ配管、ほかに計装制御機器、クリーンルーム、水処理など多種多様です。
取り扱う流体には危険物も多く、高温高圧から低温まで厳しい条件で使用されるなど高度の信頼性が要求されます。配管部材にはおもにステンレス鋼が多用されています。メンテナンスフリーが理想の姿ですが、実際は腐食や摩耗で穴があいてトラブルの原因となっており、その対策が課題です。
この「腐食、摩耗対策」もプラントエンジア(特に、プラントオーナー側の設備管理技術者)の仕事です。
プラント配管工事の流れ
プラント建設には、プロセス開発、プロセス設計、基本設計、詳細設計、資材機器調達、建設工事、配管計装工事、検査試験、試運転などの工程があり、これらを経て操業が開始されます。
1.プロセス開発、プロセス設計
化学プラントの設計は、プロセス設計エンジニアと詳細設計エンジニアが担当します。
原料~製品が設定されると、基本的なプロセスフローが決定します。
条件に従い物資収支(マテリアルバランス)、熱収支(ヒートバランス)といったプロセス計算を行います。
これらを元に、プロセスフローシート(製造工程図:プロセスフローダイヤグラムPFD)やプロットプラン(機器配置図)、主要機器データなどが作成されます。
これを元にP&Iダイヤグラム(配管計装線図:P&ID)が作成されます。
2.基本設計(配管)
基本設計では、これらの資料を集約して、配管設計基準書および配管設計仕様書が作成されます。
3.詳細設計(配管)
詳細設計では、反応塔や蒸留塔、熱交換器など各種の装置の設計、コンプレッサーやタービン、ポンプ、ボイラーなど回転機器類の設計、プラント建設のための土木、建築設計、動力源の電力設備設計、加熱炉の設計、配管設計などを専門分野(機械、電気、計装、土木、建築)ごとに分担して行います。
配管設計エンジニアは、流体の種類や温度・圧力・流量・流速などの運転条件を基に、最適な配管を考え、部材の選定や加工方法、施行法法を選択します。
配管の詳細設計は、製品の品質やプラントの寿命を左右する重要な工程となっています。
配管工事は、エンジニアリング会社の工事部門が担当したり、エンジニアリング会社と契約した工事会社が担当します。
詳細設計での配管図、仕様書、施工要領書に基づき、施工図が作成されます。
配管の製作には、立体のアイソメ図、部分配管図のスプール図、工場製作用のプレファブ図など用途毎に違った図面があります。
4.材料集計・資材調達
図面から必要な材料を拾い上げて集計し、資材の発注を行います。
品物が納品されたら、受け入れ検査もしっかり行います。
5.建設工事
工事現場では先行して、基礎、建築工事、機器の据え付けといった作業が行われます。
6.配管工事
建設工事と平行して、工場(加工場)で配管の加工や溶接が行われ、プレファブ製作を行います。製作した配管部材を工事現場に搬入して、取り付けます。
その後は、配管支持、計装配管取り付け、保温保冷、塗装の各工事が行われます。
7.検査、試験、試運転
検査には、目視のほか測定器を使用した非破壊検査などがありますが、通常、高圧ガス保安法など各法規制に従った方法で行われます。
試験には、耐圧・気密テストがあり、合格すれば工事完了となります。
8.プラント稼働、運転、保全
工事が終わって、プラント運転開始後の重要な仕事に保全があり、検査計画を立てて、腐食や割れなど配管の劣化傾向もつかんで寿命を予測します。
また、日常の運転でも漏れや故障などの応急修理を行い、維持をしていきます。
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