皆さん、「単位」を理解して、使いこなしていますか?
空調、熱源設備を管理し、省エネルギーにつなげるには、基礎知識として「単位」を知ることがとても大事です。
今回は、設備管理・エネルギー管理で必要な「単位」について解説します。
現在は、SI単位を使用していますが、古い設備や文献ではSI単位以外の単位で表示されていることがあります。高いレベルで設備管理を行うためには、SI単位以外の表記からSI単位への換算方法を知っておくべきだと考えます。
SI基本単位
SI基本単位とは国際単位系(SI)における基本単位で以下の表のように7個あります。
基本量 | 名称 | 記号 |
長さ | メートル | m |
質量 | キログラム | kg |
時間 | 秒 | s |
電流 | アンペア | A |
熱力学温度 | ケルビン | K |
物質量 | モル | mol |
光度 | カンデラ | cd |
力について
力の単位 [ kgf → N(ニュートン)]
SI単位では力の単位はニュートン(N)で表します。
物理学における運動の第二法則より、質量mの物体に働く力Fは、その物体に働く加速度をaとしたとき
F = ma(力は質量と加速度の積)
で表されます。
ここで、質量、加速度のSI単位はそれぞれ、kg、m/s2 であるため、
力の単位をSI基本単位で表すとkg・m/s2となります。これを、ニュートン(N)と定めています。
N = kg・m/s2
SI単位を導入する前の日本では力の単位として、”kgf”で表していました。
kgfのfは force (力)で、kgf = kilogram force。日本では「キログラム重」と呼びます。
要するに、地球表面で1kgの質量に働く「重力」の大きさということです。
従って
1 kgf = 9.8 N です。
“kgf”表示は、質量と同じ単位の”kg”と区別するためであり、SI化ではありませんでした。
そこで、従来単位(kgf)と、SI単位(N)との関係を重力加速度(9.8 m/s2)を用いて
1kgf = 1kg × 9.8m/s2 = 9.8N
と表すことができます。換算すると、
1N = 1/9.8 kgf = 0.102 kgf
よって、「1Nは、0.102kg(102g)の重さ」となります。
感覚的にイメージすることが大切ですので、覚えておいてくださいね!
私の感覚では、「1N(ニュートン)って、意外と軽いんだ!」でした。皆さんはどうでしょう?
もう少し補足すると、
圧力、応力(Pa)パスカル
Pa(パスカル)とは、1㎡の面積に、1N(ニュートン)の力が作用するときの圧力 又は、応力です。
Pa = N/m2
さきほど、1N(ニュートン)は、102gと解説しましたので、
Pa(パスカル)は、1㎡の面積に102gの重さが作用した力です。
1㎡(1m×1mの広さ)に102gですよ。
Pa(パスカル)って、小さな力だと思いませんか?
他にも、いろいろな表記がありますので、一覧表で紹介します。
工業単位 |
SI単位圧力(Pa) |
単位(MPa=106Pa) |
便宜上の表記 |
1 mmAq | 9.8 Pa | 0.0000098 MPa | 0.00001 MPa |
1 mmH2O | 9.8 Pa | 0.0000098 MPa | 0.00001 MPa |
1 mH2O | 9,800Pa | 0.0098 MPa | 0.01 MPa |
10mH2O | 98,000Pa | 0.098 MPa | 0.1 MPa |
1 kg/cm2 | 98,000Pa | 0.098 MPa | 0.1 MPa |
【参考】
0.1 MPa | 1.02 kg/cm2 | 水頭圧 10.2 m | |
1.0 MPa | 10.2 kg/cm2 | 水頭圧 102m | |
0.1013 MPa | 760 mmHg | 1 atm | 1 気圧 |
1,013.25hpa | 10,332 mmH2O |
仕事の大きさ(仕事量、エネルギー)、J(ジュール)
仕事の定義から確認していきます。
「物体に力を加えて、その向きに動かすこと」を仕事といいます。
つまり、仕事をするためには、物体に力を加えた上で、動かさなければならないわけです。
仕事を求める公式は、次のように表されます。
仕事の大きさ(仕事量・エネルギー) 〔J〕= 力 〔N〕× 距離 〔m〕
1N × 1m = 1J
1N(ニュートン)のものを、1m移動するのに必要な仕事量(エネルギー)が、1J(ジュール)です。
1N = 102gf ですので、102gf × 1m = 1J となります。
つまり、
1Jは、102gの重りを、地球上(重力加速度(9.8 m/s2)が掛かった状態)で、1m移動するために必要な仕事量となります。
仕事率、W(ワット)
1W(ワット)は、1秒間の間にした仕事量のこと。
式で表すと、
1 W = 1 J/s
となります。
つまり、1Wは、102gの重りを、1秒間で1m移動する仕事量となります。
1Wで1時間、仕事をすれば1Wh(ワットアワー)と表現します。
仕事率 | エネルギー(J) | エネルギー(kJ) | カロリー(cal) |
1 W・s | 1 J | 1/1000 kJ | 0.86 cal・s |
1 W・h | 3,600 J | 3.6 kJ | 0.86 kcal・h |
1kw・h | 3,600,000 J | 3,600 kJ | 860 kcal・h |
【参考】工業単位のcal(熱量)と仕事率(W)、エネルギー(J)の関係
工業熱量単位 | SI単位仕事率 | SI単位エネルギー | 工業単位の表現 |
1 cal・s | 1.163 W・s | 1.163 J | 時間の表現が無い場合、1時間の量を表現 |
1 cal・h | 4,186 W・h | 4,186 J | |
1 kcal・h | 4.186 kW・h | 4.186 kJ |
(注意)冷凍機や空調機のカタログで、「冷凍、暖房能力のkw」と「動力のkw」は単位が同じでも表示している内容が異なっているため注意してください。
冷房・暖房能力のkwは、kJ(熱量(エネルギー))をkw(仕事率)に換算したもの。
一方、動力のkwは、「仕事率」を表している。
その他の単位
面積 | m2 | 平方メートル(へいべい) |
体積 | m3 | 立方メートル(りゅうべい) |
速度 | m/s | メートル毎秒 |
加速度 | m/s2 | メートル毎秒毎秒 |
液体流量 | m3/h | りゅうべい パー アワー |
m3/min | りゅうべい パー ミニッツ | |
m3/sec | りゅうべい パー セコンド | |
L/sec | リッター パー セコンド | |
L/min | リッター パー ミニッツ | |
|
CMH(=m3/h) | シーエムエイチ(キュービック メーター パー アワー) |
CMM(=m3/min) | シーエムエム(キュービック メーター パー ミニッツ) | |
CMS(=m3/sec) | シーエムエス(キュービック メーター パー セコンド) |
濃度 | ppm | mg/L | 百万分の1 | 0.0001% |
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