プラントエンジニアは、どの程度忙しいのでしょうか?
特にプラント工事の施工管理技術者は、工事現場を切り盛りするため、大規模な工事が始まると目が回る忙しさです。
私が化学プラントの施工管理術者として働いた経験を元に、そんな気になる情報を紹介します。
目次
忙しいのはいつ?
給料はどれくらい?
汚い?
危険?
忙しいのはいつ?
プラント工事は、計画的な工事と、突発工事の2つがあります。
突発工事は、前触れなく突然設備が壊れるケースです。プラントの製造プロセスに関係する設備が壊れた場合は、突貫工事で修理をすることになります。
工事が終わるまで、施工管理技術者は解放されません。
一方、計画的な工事は、定修と言われる「定期修理工事」があります。この定修の時期が忙しさのピークです。大体、春から秋にかけて実施されます。
定修とは、プラントをある期間(1週間~1ヶ月)停止させ、機器や機械、電気、計装設備、配管の取り替えなどの大規模なメンテナンスをしたり、設備の改造や増設を行います。
石油化学コンビナートでは、たくさんの種類のプラントが集まっています。個別にプラントを停止させる部分定修や、コンビナートにあるすべてのプラントを停止する全定修があります。
定修を毎年行うプラントもあれば、数年に1度だけ停止するプラントもあります。
数年間連続で稼働した巨大なプラントが停止すると、設備の点検が一斉に始まります。
大規模な定修になると、複数の会社(機器メーカーや、エンジニアリング会社のスタッフ、職人)が入り交じり1000人以上の人がプラント内で作業します。
こんなぐちゃぐちゃな状況で、自分が担当する工事現場を切り盛りすることになります。
忙しいのは、工事の当日だけではありません。
事前の工事計画の段階から、大忙しです。
工事をするには、交換する部品の調達、職人の手配、何トンもある機器を取り替える場合は重機の手配が必要です。
必要な費用を積算し、施主(プラントオーナーの設備管理技術者)に見積書を提出します。
金額交渉をして、金額が折り合えば、ようやく工事の受注です。金額が折り合わないと失注となり、今までの苦労が全部無駄になってしまいます。
受注したら、詳細な工事計画に移ります。
交換する部品を調達したり、職人を手配しつつ、工程表を作成します。
工事の当日、スムーズに作業ができるように職人の職長と打ち合わせをします。
施工管理技術者は、何十件もの工事を同時に管理をするため、1つ1つの工事現場は職長にお任せる場面が多くなります。ですので、しっかりしたコミュニケーションを取っておかないといけません。
また、工事の当日には、何台ものクレーン車がプラントの中で作業します。
何十台もの車両がプラントに入るので、朝に一度プラント内に入ったら夕方までプラントから出られません。このように、重機をどこに配置するか?といった、仮設計画も綿密に決めておかないといけません
このように、大規模な何十件もの工事を自分の思い通りに進めることができた時の達成感はすばらしいものがあります。まさに、感無量です。特に、大勢の人達を自分の意思でコントロールすることは、施工管理技術者の醍醐味です。オーケストラの指揮者になったような気分になります。
給料はどれくらい?
忙しさのピークの時は、休みがなく、早朝深夜までの作業となり激務です。
ピークの残業時間は、月100~200時間でした。
体力的にもとてもキツいですが、サービス残業はありませんでしたので、働いた分は給料としてしっかりもらっていました。
給料は、基本給+残業代(100時間超)ですので、「基本給の2倍以上」の時もありました。
汚い?
想像通り、はっきり言って汚いです。
化学プラントで働くと「鼻毛が伸びるのが早くなった(気のせい?)」と言われるほどです。
危険?
想像通り、危険です。
危険な業種だからこそ、安全面の管理もしっかりしています。
安全管理は、施工管理技術者の大事な仕事です。
法的に決められたの作業手順をしっかり守ったり、資格が必要な作業では専門者が作業します。さらに、工事中は「安全衛生の専門者」が居て、工事現場を定期的に巡回します。
また、毎日、施工業者や施工管理スタッフが一斉に集まり安全会議(工程会議)を行い、今のプラントの危険のポイントや工事の進捗状況(明日はここで大きなクレーンが入るので気をつけて)の情報を交換します。
このように、事故が起こらないようなしくみがしっかり確立されています。
しかし、少しでも気を抜けば大事故につながるため、常に緊張感を持っていないといけません。
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