「労働安全衛生法」及び「事務所衛生基準規則」では、部屋の照明設備の点検が定められています。頻度は、6ヶ月以内ごとに1回となっています。では、照明設備の点検はどのように実施すれば良いのでしょうか?
結論:照度計で照度測定を行い、照度基準を満たしているか確認する。適合しない場合は照明設備を改善する。
法的根拠
「事務所衛生基準規則」第二章 事務室の環境管理(第10条)に規定されています。
(照度等)
1.事業者は、室(労働者を常時就業させる室)の作業面の照度を次の基準に適合させなければならない。但し、感光材料の取扱等特殊な作業を行う室については、この限りでは無い。
作業の区分:照度基準
精密な作業:300ルクス以上
普通の作業:150ルクス以上
粗な作業: 70ルクス以上
2.事業者は、室の採光及び照明については、明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせない方法によらなければならない。
3.事業者は、室の照明設備について、六ヶ月以内ごとに一回、定期的に、点検しなければならない。
照明設備の点検方法
法令の記述から照明設備の点検の目的は、”作業ごとに決められた基準照度を確保すること”であると読み取れます。このことから、照明設備の点検手順としては、以下の通りになるかと思います。
照度計で照度を測定
ーー↓
基準照度に適合しているか確認する
ーー↓
適合していれば、照明設備に問題無し
不適合の場合は、照明設備の不具合を改善する
これに加え、照明器具に異常がないか?外観点検を実施すれば良いでしょう。
次に、照度基準、照度測定方法について紹介します。
JIS照明基準とは?
「事務所衛生基準規則」で定めている照度基準は「最低照度」となっています。安全かつ快適な作業環境を十分に確保しているとは言い難くなっています。普通の作業では150ルクス以上ですが、実際に作業をすると暗く感じることでしょう。
この法令の他に、照度基準を定めたものが「JIS照明基準」です。これは、法令では無く「推奨照度」ですので、遵守義務はありません。
JIS基準は、学校や工場施設別に規定されています。
<→JIS照度基準>
照度測定の方法は?
照度測定は、”照度計”を用いて実施します。操作方法はとても簡単ですので、誰でも手軽に測定をすることができます。測りたいところに、照度計を置くだけですが少し陰があるだけで照度が大きく変わるので注意しましょう。
照度計の価格は数千円~数万まで幅がありますので、用途によって選択しましょう。安いモデルでも簡易照度計として精度を求めなければ充分使えます。とりあえず1つ欲しいなら、この照度計がオススメです。
私は、衛生管理者の日々の業務で事務所の照度測定をしています。
今使っているのはこの計器で、とても使い易いです。
精度の良いきちんとした照度計が欲しい方にはオススメです。少し値段が張りますが。
以前は、1万円程度のものを使っていました。メーカーは
・HIOKI(日置)
・FUSO です。
使い易くてオススメなのは、センサーが分離するタイプで、目盛りがアナログ式のものです。センサが分離すると場所を問わずに測定できますし、目盛りがアナログだと読み取り易いです。
でも、このタイプの照度計はなかなか売っていませんので、迷っているなら先ほど紹介した計器を使ってみて下さい。
照度基準は部屋の中全部クリアしなければならないの?
あくまでも重要なのは労働者が作業を行う作業面です。作業面では照度基準を満たさなければなりません。作業面が照度基準を満たしていない場合は、レイアウト変更や照明の交換など早急な改善が必要です。
一方、作業を行わない床面であれば基準以下であっても問題ありません。しかし、床で作業を行う場合は、床面の照度確保が必要となります。
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<→衛生管理者の職務、仕事内容は?>
コメント
確かに第1項で維持すべき照度を掲げ、第3項で点検する、という流れから、点検の中で照度が維持されているかを確認すべき、と考えるのが自然なのかもしれません。
しかし、解釈例規(昭和46年8月23日基発第597号)では、この点検について鍵「電球、反射笠等の汚れ、破損または機能劣化など照度の低下の原因となる事項について行うこと」と、あくまで外観検査に留まる内容となっています。
何か公的な裏付けが取れる文書がありましたら教えてください。
よろしくお願いいたします。
ご回答が遅くなり申し訳ございません。照明器具の外観に異常が無くても、照度が足りなければ改善が必要となりますので、照度測定が有効であると考えます。
よろしくお願いします。