有機溶剤を保管・貯蔵する場合はどうすれば良いか知ってますか?
管理人が勤務する事業所へ「労働基準監督署」の立入検査があり改善指導されました。その経験を踏まえ解説します。
有機則35条では、有機溶剤を保管・貯蔵について以下の3つを要求しています。
・ふた又は栓をした堅固な容器を用いること
・関係者以外がその貯蔵場所に立ち入ることを防ぐこと
・有機溶剤の蒸気を屋外に排出する設備
では、この3つは「保管量がごく少量」でも必要なのでしょうか?
結論:
保管量に関係なく必要です。
有機則2条、3条で適用除外についての記載がありますが、保管・貯蔵については関係ありませんので、すべてに対し対応が必要となります。
但し、「有機溶剤の蒸気」が発生していなければ「屋外へ排出する設備」は必要ありません。「有機溶剤の蒸気」が発生しているかどうかは、「溶剤の臭い」で判断できます。「臭い」がしなければ「屋外へ排出する設備」は必要ありません。逆に、少しでも臭う場合は、「蒸気が発生」していますので、対策が必要です。
では、「屋外へ排出する設備」はどのようなものなのでしょうか?
結論:貯蔵場所と戸外が通気する経路があれば大丈夫です。
なぜなら目的が「有機溶剤の蒸気」を戸外に排出する経路を確保し貯蔵所を開けた時でも「有機溶剤の蒸気」を作業者に暴露させないことだからです。つまり、窓や通気管の設置だけでも問題無く、必ずしも排気ファンのような動力装置を設置する必要はありません。
労基署の立入検査の際に、「排気ファンが無い通気ダクトを設置する場合、有機溶剤の蒸気は空気より重いので自重で蒸気が屋外へ排出するよう配慮する必要があるのでは?貯蔵所の高い位置に通気管を設置しても蒸気が重いので意味ないのでは?」という疑問を監督官の方にぶつけましたが、明確な回答はありませんでした。この点については、今後見直しが必要であると感じます。
また、注意点として消防法でいう危険物に該当する場合、消防法を遵守しなければなりません。その際、保管する危険物が指定数量の何倍になるかを計算し判断します。なお、有機則の親分は労働安全衛生法ですので、消防法とは全く別の法律です。
「法律で決まっているから守らる」ではなく「何故法律で決められているのか?」をしっかりと考えて対応していきたいですね。
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